|
|
この対局は、『囲碁百名局上巻』(誠文堂新光社 2001年)に棋譜が載っている。 秀哉名人は、これを最後の対局として、翌年66歳で生涯を閉じた。 作者はこの引退碁を観戦し、後にそれをもとにして小説『名人』を発表した。
碁の名人が、引退碁に望む様を、新聞の観戦記者からの視点で描いた作品。 川端の作品としては、女がほとんど出てこない点で、地味な感じを受けるが、 その、碁という「静」の世界の激しさと静けさをこのように描けるのは、 やはり日本の文豪ならではであろう。 職業に勝負を選んだ人間の、人生の結集を的確に描いている。 芥川龍之介の『枯野秒』にも通じる、円熟した作品。