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名人 (小説)

名人川端康成の小説の題名。
昭和13年、21世本因坊秀哉名人は木谷実七段と引退碁を対局した。 時に、秀哉名人65歳、木谷七段29歳。 木谷七段の先番で、6月26日に打ち始められ、 途中、秀哉名人の体調不良による長期入院をはさんで、 足かけ半年をかけて、12月4日に打ち終えた。 勝負は木谷七段の5目勝ちであった。

この対局は、『囲碁百名局上巻』(誠文堂新光社 2001年)に棋譜が載っている。 秀哉名人は、これを最後の対局として、翌年66歳で生涯を閉じた。 作者はこの引退碁を観戦し、後にそれをもとにして小説『名人』を発表した。

碁の名人が、引退碁に望む様を、新聞の観戦記者からの視点で描いた作品。 川端の作品としては、女がほとんど出てこない点で、地味な感じを受けるが、 その、碁という「静」の世界の激しさと静けさをこのように描けるのは、 やはり日本の文豪ならではであろう。 職業に勝負を選んだ人間の、人生の結集を的確に描いている。 芥川龍之介の『枯野秒』にも通じる、円熟した作品。





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