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ワイン

ワイン (Wine) は、時に葡萄酒(ぶどうしゅ)とも呼ばれ、主としてブドウの果汁を発酵させたアルコール飲料である。通常、単に「ワイン」と呼ばれた場合には、他の果汁を主原料とするものは含まない。

ワインの主成分は、水分、エチルアルコール、各種の有機酸、グリセリンアミノ酸核酸、タンニン、炭酸ガスなどである。各種の有機酸の中では、酒石酸、リンゴ酸クエン酸乳酸酢酸コハク酸の6つがワインの風味に関して最も重要な要素と考えられている。また、貴腐ワインには、グルコン酸が多く含まれている。

Table of contents
1 歴史
2 製法
3 ワインの種類
4 ワインの産年表示
5 ワインの産地表示
6 世界のワイン生産国
7 日本のワイン
8 文献
9 ワインに関する事件
10 ワインに関する用語
11 関連項目

歴史

ワインと人との結び付きは古く、新石器時代にまで遡るとされる。古代、メソポタミア文明シュメール人により初めてワインが作られたといわれ、彼らはビールも製造しており、紀元前3000年頃にエジプトに双方が伝わったとされる。 ビールの醸造の方が比較的簡単であったため、これらメソポタミアやエジプトでは、ビールを日常消費用、ワインを高級品として飲み分けていたとされる。

その後、フェニキア人によってギリシャへと伝えられ、さらに地中海沿岸へと広まったといわれている。ワイン製造の技術が格段の進歩を遂げたのはローマ時代に於てとされ、この時代に現在の製法の基礎が確立した。

ヨーロッパの各地には、キリスト教と共に広まり、キリスト教会の僧院でブドウの栽培と共にワインの醸造が行われた。今でも良質のワインを作る僧院が多くある。キリスト(イエス)は、ワインを指して自分の血と称したとされ、今日でもキリスト教の儀式に赤ワインは欠かせないものである。

イスラム教においては、飲酒が教義により禁止されているため、発祥地である現在の中東諸国では、あまりワインは生産されていない。

製法

ブドウの果実には天然の酵母菌が取り付いており、果汁が外に出ることで自然に発酵が始まる。このため、酵母を加えることなく発酵させることも可能である。

ここでは、日本国内で認められている製法を記す。 赤ワインでは、まずブドウ果実を破砕したのちに、果皮や果肉の混ざったままの果汁を発酵槽に移す。雑菌の繁殖を抑えるために、発酵槽では酸化防止剤としても知られる亜硫酸 (SO2) またはその塩(ピロ亜硫酸カリウム)が添加される。亜硫酸は人体に有害な物質としても知られ、これを添加しない製法もあるが、まだ研究段階と言え、そうして造られた製品は往々にして品質が低い。また、日本やアメリカなどでは、製品中の亜硫酸濃度が厳しく規制されている。 その後、必要であれば酵母菌(乾燥酵母など)を投入し、場合によっては糖(砂糖など)が添加される。この後、温度を約20~30℃に保ち、数日から数十日かけて発酵させたのち(これを「主発酵」と呼ぶ)、圧搾によって液体成分を搾り出す。搾り出された液体は、ステンレスやコンクリート製のタンク、木製の樽に貯蔵され、さらに発酵させる(これを「熟成」と呼ぶ)。熟成期間は数十日から数年とさまざまである。底にたまった滓(かす)は随時回収する。 この後、乳酸菌が投入される場合があるが、乳酸菌はリンゴ酸を分解し、酸度を減らす働きがある。 貯蔵後はガラス瓶などの容器に詰め、コルクなどで栓をし、この後、出荷される。

白ワインでは、果実は破砕したのちにすぐ圧搾され、果皮は取り除かれる。主発酵は20℃以下の比較的低温で行われ、赤ワインよりも長い時間を必要とする。乳酸菌は通常、投入しない。その他の工程は赤ワインとほぼ同じである。

赤・白ともに、ほぼ全工程で、なるべく空気との接触を断つ必要がある。空気に触れると、発酵時に酢酸が生じ、酸味の強すぎるワインになる。酸化防止剤は、日本では上記の2つの物質以外は認められていないが、南米などから赤道を越えて船で輸送されるものは、多くの場合にソルビン酸が添加される。

補糖と補酸

ワインの製造の過程では、果汁の糖度の不足を補い、アルコール度数を高め、(赤ワインでは)色を濃くするために、補糖が、また、果汁の酸の不足を補うために補酸が行われる場合があるが、多くの国では、この2つの同時使用は認められておらず、また、どちらかが法律で禁止されている場合もある。

炭酸ガス浸漬法

炭酸ガス浸漬法は、果実を房のまま入れた容器を密閉し、炭酸ガスを充満させて行われる、特殊な発酵の方法である。果実味に富んだワインの醸造に用いられる。「マセラシオン・カルボニック」や「カーボニック・マセレーション」(Carbonic Maceration) とも呼ばれる。

アルコール発酵

アルコール発酵 (fermentation) は「主発酵」とも呼ばれ、酵母菌の働きにより、糖がエタノールへと変換される過程をいう。

マロラクティック発酵

マロラクティック発酵 (malolactic fermentation) とは、乳酸菌の働きを利用して、(刺激の強い)リンゴ酸 を、(舌触りの柔らかな)乳酸 へと変化させることをいう。アルコール発酵と同時、または、その後に行われる。

ワインの種類

色による分類

白ワイン

主に無色に近い色調から(時に緑がかった)黄色みを帯びたワインを、白ワイン と呼ぶ。 白ブドウなど主に色の薄い果皮のブドウを原料とし、発酵には果汁のみを使用する。 酸味の強い物は、一般的に魚料理に合うとされる。

赤ワイン

透き通った赤や、濃い紫、あるいは赤褐色のワインを赤ワインと呼ぶ。一般に白ワインよりもタンニンを多く含み、渋みがある。

主として黒ブドウや赤ブドウを原料とし、果実を丸ごとアルコール発酵させる。この発酵の過程で、果皮に含まれる色素やタンニンが抽出される。マロラクチック発酵により減酸が行われることもある。 濃厚な風味のものは一般的に肉料理に合うとされる。

ロゼ

ロゼ (rosé) とは、フランス語で「薔薇」を意味し、時にピンク・ワインとも呼ばれる赤みを帯びた淡い色調のワインを指す。 製法には、果皮の色の薄いブドウを赤ワインのように醸造する方法や、赤ワインと同じブドウを白ワインのように醸造する方法、赤と白の双方のブドウによる混醸などがあり、味わいも様々である。

特殊な製法のワイン

発泡ワイン

製造の過程で発泡するようになったワインを、日本では
シャンパンと呼ぶ事も多いが、これは厳密にはフランスシャンパーニュ地方にのみ許された呼称であり、それ以外は単に 発泡ワイン(フランス語ではヴァン・ムスー 、英語では スパークリング・ワイン sparkling wine)と呼ぶ。製造方式には、シャンパン方式(瓶内二次発酵)、シャルマ方式(タンク内二次発酵)、トランスファ方式、炭酸ガス注入方式がある。フランスのシャンパン以外に有名な発泡ワインには、スペインカヴァドイツのゼクト、イタリアのスプマンテと呼ばれる発泡ワインがある。普通の(発泡性でない)ワインも開栓せずに放置した場合などに発泡することがあるが、これは発泡ワインには含まず、忌み嫌われる。

貴腐ワイン

ブドウの果皮に付着したカビ菌の一種であるボトリティス・シネレア (Botrytiscinerea) の働きにより、木に付いたまま果実が干しブドウの様な状態になることを貴腐(貴腐現象)といい、この果実を用いて製造されたワインを貴腐ワインと呼ぶ。菌の作用により、果皮の蝋質が破壊され果実内の水分が蒸発して糖度が著しく高まる。

貴腐ワインは、一般に甘口に作られ、そのため、食後酒として珍重される。フランスのソーテルヌやハンガリートカイがとくに有名であり、ドイツのベーレンアウスレーゼ (Beerenauslese 、BA) やトロッケンベーレンアウスレーゼ(Trockenbeerebauslese 、TBA) も、時に貴腐ワインとなる。

酒精強化ワイン

酒精強化ワイン (fortified wine) は、途中でブランデーなどブドウを原料としたアルコールを添加して発酵を止めたもので、糖分の多く残ったワインができあがる。スペインのシェリー、ポルトガルポート・マディラが代表的で、これらは三大酒精強化ワインと呼ばれることもある。

アイスワイン

アイスワインは、天然状態で凍ったブドウから生産されるワインである。水分は凍るが糖やその他の固体成分は凍らないため、濃縮された非常に甘いワインとなる。アイスワインはボトリティス・シネレアの影響は受けていない。

アイスワインの誕生はドイツのフランコニア地方であった。ブドウ畑が予想していない寒波におそわれてしまいブドウが凍ってしまった。諦めきれなかった農民たちは、凍ってしまったブドウでワインを造ったところ、とても糖度が高く美味しいワインとなっていた。この偶然からアイスワインが作られるようになった。当時は非常に貴重で高価だったため貴族の飲み物であった。

アイスワインとして最も有名なものはドイツのアイスヴァイン (Eiswein) であるが、カナダオーストリアでも造られている。日本ではアイスワインを定義する法律がないためにフルーツワインをアイスワインと称して販売しても違法ではないが、カナダ、ドイツ、オーストリアにおいてはアイスワインと名乗るためには、原料、収穫方法、温度などの厳格な基準を満たす必要がある。

フレーバードワイン

フレーバード・ワイン (flavored wine) とは、普通のワインにブドウ以外の果実、果汁、香草、薬草などを加え、香りを付けたものである。カクテルマティーニの材料としても使用される ヴェルモット (Vermouth) や サングリア などが知られる。

ワインの産年表示

ワインの生産された年は、( 原料となる) 葡萄の収穫された年( ヴィンテージ Vintage )で示される。

ワインの産地表示

日本を除く先進国をはじめ、殆どのワイン生産国では法律により、原料となる葡萄を収穫した土地をワインの産地として表示することが義務付けられている。また、フランスやイタリアなどの国では、産地によって使用できる葡萄品種までが定められている場合がある。日本では、原料の産地に関わらず国内で醸造を行えば「日本産」の表示が可能であり、しばしば輸入された果汁からワインが製造される。

世界のワイン生産国

フランス

フランスでは、ほぼ全土に渡って多かれ少なかれワインが生産されている。中でも最も有名な産地(アペラシオン)は、南西部の
ボルドー (Bordeaux) と東部のブルゴーニュ (Bourgogne) であり、北東部のシャンパーニュ (Champagne) は発泡ワインの産地として知られる。この他に、中部のロワール川や、南部のローヌ川沿いの地域がよく知られており、各地で固有のワインが生まれている。

フランスの産地呼称は、1935年に制定された原産地呼称統制法(AOC法)による。このAOC法の規制により、産地ごとに定められたブドウの品種や製法などの要件を満たさなければ、その生産地(アペラシオン)を名乗ることはできない。例えば、ボルドーでは、マルゴーなど村の名前が入ったものが最も細かいAOCであり、ブルゴーニュでは更に、畑の名前までに細分化されている。以下、ブドウの原産地が広がるに応じて、順次メドックなどの地区名、ボルドーなど地方名とAOCの範囲が広がる。より限定された産地(アペラシオン)ほど、土地の個性を反映するものとされる。AOCワインとほぼ等価なものに、その予備軍的存在の VDQS(Vin Delimite de Qualite Superieure 、ヴァン・デリミテ・ドゥ・カリテ・シュペリウール)があり、これらの条件を満足できないものは、上位のものから「ヴァン・ドゥ・ペイ」(Vin de Pays)、「ヴァン・ドゥ・ターブル」(Vin de Table) の順に格付けされるが、これらの格付けは、それぞれのワインの「美味い」「不味い」を定義するものではない。

ヴァン・ドゥ・ペイでも産地表示が認められているが、その呼称はアペラシオンとは大きく異なり、各アペラシオンの商標的価値を損ねないよう配慮されている。ヴァン・ドゥ・ペイの中で最も知られた産地呼称は、南部のラングドック地方を示す「オック」(OcVin de Pays d'Oc ヴァン・ドゥ・ペイ・ドック)であり、ロワール川沿いの「ジャルダン・デ・ラ・ロワール」もよく知られている。

ドイツ

ドイツはその地理的要件から、葡萄の栽培が南部の地方に限られる。この地は葡萄の生育できる北限とされ、主にフランスやオーストリアに近いライン川沿いでワインが生産されている。ドイツのワインも参照されたし。

イタリア

イタリアはワインの生産量で世界一を誇り、輸出量もまた世界的に有数である。ピエモンテ、ヴェネト、トスカーナなど北部の諸州のものが特に知られる。

スペイン

スペインはフランス、イタリアに次ぐワイン生産国である。北部のリオハ地方及びカタロニア地方、中部のラマンチャ地方、南部のアンダルシア地方が有名な産地である。

ポルトガル

ポルトガルでは、北部のダン地方、ヴィニョ・ヴェルデ地方及びアルト・ドウロ地方が有名な産地である。

オーストリア

オーストリアでは、地理的にドイツと近いためドイツと似た風味のワインが生産される。ニーダーエステライヒ(Niederösterreich 、低地オーストリアとも)やブルゲンラント(Burgenland) といった地方が比較的有名であるが、オーストリア産ワインは全体的に日本への輸入量は少ない。1985年に発覚した「ジエチレングリコール混入事件」を機に、世界一とも評される厳密な規制が設けられた。

南アフリカ

南アフリカ共和国では、新世界としては比較的古く17世紀の半ばからワインの生産が行われてきた。長く続いたアパルトヘイトの影響もあり、この国のワインが国外に出ることは少なかったが、この差別制度が撤廃されて以降、徐々にその名が知られつつある。気候の関係から、アフリカ大陸の最南端、喜望峰周辺で葡萄の栽培が行われている。

オーストラリア

オーストラリア は、世界でも有数のワイン生産国であり、その多くを海外へ輸出している。ブドウの栽培は殆ど比較的冷涼な大陸南部に限られ、大規模な灌漑(かんがい) が行われることも多い。南オーストラリア州で、オーストラリア全体の半分が生産され、次いでヴィクトリア州、残りの大半はニュー・サウス・ウェールズ州が供給する。南オーストラリア州では、バロッサ・ヴァレー(Barossa Valley) が最大の産地として知られ、クナワラ(Coonawarra) は高級品で名高い。タスマニア島でも、ワインが生産されている。

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国 は、世界第4位のワイン生産国であり、中西部を除く殆どの州でワインが造られている。国内の生産量の9割をカリフォルニア州が占めており、ニューヨーク州ワシントン州が続く。

カリフォルニア州サンフランシスコ近郊のナパ、ソノマ、サンタクララ、サンジョゼなどで近年良質なワインが生産されている。特にナパ・ヴァレーは、ブドウ作りに適した地域で、シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワールなどの品種が栽培される。

カナダ

カナダでは、主にオンタリオ州ブリティッシュ・コロンビア州でワインが生産される。特に、オンタリオ州では毎年のようにアイスワインを造ることができる。フランスのAOCやイタリアのDOCを模して、品質管理のためのVQAが導入されている。

アルゼンチン

上質なワインのほとんどが、メンドサ州の高地で生産される。

チリ

チリは、南米を代表するワイン生産国であり、19世紀にヨーロッパ・ブドウ(ヴィニフェラ種)が持ち込まれたと言われている。首都 サンティアゴ の南で主に葡萄が栽培されており、1995年に施行された生産地の法規制によって、マイポ(Maipo)、ラペル(Rapel)、マウレ(Maule)の3つの大きな地域に区分けされた。

コンチャ・イ・トロ(Concha y Toro)、サンタ・リタ、サン・ペドロ、サンタ・カロリーナの4つの特に大きな生産者が知られる他、フランスのラフィットのロスチャイルド家やスペインのミゲル・トーレスなどの海外資本もこの地に畑を有し醸造所を構えている。

その他のワイン生産国

ハンガリーブルガリアギリシアグルジアモロッコアルジェリアチュニジアニュージーランド中国

日本のワイン

日本では、縄文時代中期には「葡萄果汁を発酵させた飲料」が造られ飲用されていたとされるが、これはいつしか廃れ、日本におけるワイン生産は、明治時代に始まったばかりである。まだまだ発展途上と言え、ワインの製造は専ら輸入された果汁に頼る。一方で限られた生産者からは、近年では国内で栽培されたブドウにより優秀なワインも生産され始めている。

文献

  • 『世界一ブリリアントなワイン講座』(Jancis Robinson's WINE COURSE) ジャンシス・ロビンソン著

ワインに関する事件

ワインに関する用語

関連項目





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