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イスラム教は、7世紀前半にアラビア半島の商人ムハンマド・イブン=アブドゥッラーフが創始した宗教である。アブラハムの宗教の系譜に連なる唯一神教で、偶像崇拝を極端に排除し、神への奉仕を重んじ、信徒同士の相互扶助関係や一体感を重んじる点に大きな特色がある。近年は、原語である الاسلام (al-Islām)により忠実にイスラームとも表記する。アラビア語で、「イスラーム」は「神への帰依」、「ムスリム」(イスラム教徒)は「帰依する者」を意味する。
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イスラム教の教典はクルアーン(コーラン)といい、アラビア語で「朗唱されるもの」という意味である。クルアーンは、預言者ムハンマドを通じて、唯一なる神であるアッラーフがムスリムの共同体(アラビア語でウンマ)に遣わした啓典であり、ムスリムにとって最も重要な行動の指針となる。また、預言者ムハンマドの膨大な言行がハディース(伝承)として伝えられ、クルアーンに継ぐ指針としての役割を有する。ムスリムの実生活上の宗教や日常に関するさまざまな事柄を規程するために、クルアーンやハディースを集成したシャリーア(イスラム法)がまとめられている。
ムスリムは六信として次のものを信ずるように定められている。
教義
西暦610年頃のラマダーン月に、ムハンマドはマッカ(メッカ)郊外で天使ジブリールより唯一神(アッラーフ)の啓示を受けた。最初、彼が人々に伝えた啓示の教えはマッカで迫害されたため、621年、ムハンマドはヤスリブ(のちのマディーナ(メディナ))に逃れる(ヒジュラ)。ヤスリブにムスリムのウンマ(イスラム共同体)を建設したムハンマドは周辺のアラブ人たちを次第に支配下に収め、630年ついにマッカを占領した。その翌々年にムハンマドはマディーナで死ぬが、後を継ぐイスラム共同体の指導者として預言者の代理人(カリフ)が定められる。ムハンマド死後もイスラム共同体の勢力拡大は留まることは無く、4代の正統カリフの指導のもとイスラム帝国と呼びうる大帝国へと成長していった。
しかし、拡大とともに内紛も生じ、3代カリフの死後、4代以降の座を巡って、ムハンマドの従兄弟アリーとその子孫のみがイスラム共同体を指導する資格があると主張するシーア派(「アリーの党派(シーア・アリー)」の意)と、それ以外のスンナ派(「ムハンマド以来の慣習(スンナ)従う者」の意)へと、イスラム共同体は大きく分裂した。結局、イスラム帝国はウマイヤ家がカリフ位を世襲して支配する。これに対して、政治的少数派となったシーア派は次第に分派を繰り返していく。
ウマイヤ家の政権はよりムハンマドの家系に近いアッバース家に倒され、アッバース朝の元でイスラム帝国は空前の繁栄を迎えた。ムスリムの商人は広域貿易を盛んに行い、西アフリカ、東アフリカ、インド、東南アジア、中央アジア、中国などへ旅立っていったので、次第にイスラム教の布教範囲は広がってゆく。また、神学をはじめとする多くの学問が栄え、イスラム法(シャリーア)が整備されていった。一方で、素朴な信仰から離れ始めた神学への反発からスーフィーズム(イスラム神秘主義)が生まれ、イスラム以前の多神教の痕跡を残す聖者崇拝と結びついて広まっていった。しかし、同時にアッバース朝の時代には、イベリア半島にウマイヤ家の後ウマイヤ朝、北アフリカにシーア派のファーティマ朝が起こり、ともにカリフを称する一方、各地に地方総督が独立していった。こうしてイスラム共同体の政治的分裂は決定的になる。
近代に入ると、イスラム教を奉じる大帝国であるはずのオスマン帝国がキリスト教徒のヨーロッパの前に弱体化していく様を目の当たりにしたムスリムの人々の中から、現状を改革して預言者ムハンマドの時代の正しいイスラム教へと回帰しようとする運動が起こる。現在のサウジアラビアに起こったワッハーブ派を端緒とするこの運動は、イスラーム復興主義と総称される潮流へと発展しており、現在も多くのムスリムの心を掴んでいる。
近年では結果はどうあれ、ホメイニーが指導するイラン革命やターリバーンのアフガニスタン政権獲得がイスラム復興へのムスリム民衆の期待を反映する事件であった。一方で、復興主義の中から生まれてきた過激派であるオサーマ・ビンラーディンのアルカーイダを初めとする、イスラム復興の名のもとにテロリズムを辞さない組織の活動が活発になりつつあり、大きな問題となっている。
イスラーム地域研究(2002年3月にプロジェクト終了、更新停止)歴史
関連項目
関連サイト
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/IAS/Japanese/index-j.html
平凡社『イスラム事典』(1982年)(全文検索可)
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~islam2/search.shtml