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ベクトル

ベクトルとは、線型代数学の根底をなす概念の一つである。

最もおおざっぱな言い方では、ベクトルとは大きさと向きを持ったもので、スカラーに対して使われる言葉であり、平面上や空間内の矢印でイメージされる。例えば、速度加速度はベクトルである。この概念は、自然に数ベクトルへと導かれる。

線型代数学では、矢印のベクトルや数ベクトルはもっと抽象化されて、ベクトルとは単にベクトル空間の元のことになる。つまりベクトルには和とスカラー倍が定義されていることだけが問題とされる。しかし、基底を媒介にして、一般的なベクトルは数ベクトルとして扱うことが出来る: つまり、

を基底として、任意のベクトルは基底の1次結合として

のように表すことができる。これを

と同一視することで、基底の定められたベクトルは数ベクトルとして扱える。

この記事では、主に数ベクトル(空間)について扱い、部分的に一般のベクトル空間への抽象化に言及する。

Table of contents
1 数ベクトル
2 数ベクトルの和、差
3 数ベクトルのスカラー倍
4 数ベクトルの内積

数ベクトル

数ベクトルは、実数複素数有理数などから一種類選んで固定する)を並べたものである。

数ベクトル に対して、 を数ベクトルの要素 (element) と呼ぶ。要素の数を数ベクトル の次元 (dimension) もしくは要素数と呼ぶ。
次元 n の数ベクトルを n 次元数ベクトルと呼ぶ。上の例では、数ベクトル は 3 次元数ベクトルである。n 次元数ベクトル全体の集合を n 次元数ベクトル空間という。

横に並べた数ベクトルを行ベクトル。縦に並べた数ベクトルと列ベクトルと呼ぶ。上の例では、 は行ベクトル、 は列ベクトルである。

数ベクトルは n*1 もしくは 1*n の行列でもある。

数ベクトルの要素が全て 0 の数ベクトルを零ベクトルと呼ぶ。零ベクトルでない数ベクトルを非零ベクトルと呼ぶ。

数ベクトルはしばしば矢印として表現される。

数ベクトルの和、差

同じ次元の数ベクトルの和(差)を、要素同士の和(差)と定める。

の時に、 と、 は

がどんなものであっても
が成り立っていることに注意されたい。

数ベクトルのスカラー倍

c を普通の数(スカラー)とする。ベクトルのそれぞれの要素を c 倍することで、スカラー倍が定義できる。

ここまでで、数ベクトルには和とスカラー倍が定義されることを述べた。これは一般のベクトル空間についてもそのまま成り立つ。

数ベクトルの内積

同じ次元の数ベクトルの内積を、要素同士の積の総和と定める。

と  の内積を  と表現する。
内積は転置行列を用いると
と行列の積を用いて表現できる。

先ほどの例において、 は、

内積は一般のベクトル空間についても考えられる。
計量ベクトル空間の項目を参照。




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