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当初は古代ギリシアを専門とする文献学者であった。バーゼル大学の古典学の教授を最後に、大学の教壇を去る。
初期の著作には『音楽の精神からのギリシア悲劇の誕生』(通称「悲劇の誕生」)がある。代表作は、『ツァラトゥストラはかく語りき』。これは、リヒアルト・シュトラウスに有名な同名の交響詩を作曲させる切っ掛けとなった。(映画「2001年宇宙の旅」で同曲が使用され、親しまれている。)ツァラトゥストラは、ゾロアスター教(拝火教)の開祖、ゾロアスターの名前のドイツ語形の一つだが、歴史上の人物とは直接関係のない文脈で思想表現の器として利用されるにとどまっている。
哲学者としてはスピノザやショーペンハウエルの影響を強く受けた。
神、真理、価値、権力、ニヒリズム、自己について多く考察し、その中からルサンチマン、超人、永劫回帰などの概念を提唱するに至った。
それまで世界や人間理性を探求するだけであった哲学を改革し、現にここで生きている人間それ自身の探求に切り替えた。自己と社会、自己と世界や超越者の関係について考察し、人間は理性的生物でなく、恨み辛みという負の感情「ルサンチマン」によって突き動かされていること、そのルサンチマンこそが苦悩や矮小化の原因であり、それを超越した「超人」をめざすことによって解決されるべきとした。
超人思想はナチスに悪用され、ユダヤ人虐殺を正当化するために使われた。
さらに古代人の回帰的時間概念を借用して「永劫回帰」論を提唱した。これは現在の苦悩を来世の解決に委ねてしまおうというクリスチャニズムの悪癖を否定し、現在と同じ世界が何度も巡ってくるとし、そのために現在の苦悩は現在の自分が引き受けるしかないという決意の表明でもあった。
彼自身は発狂し、廃人状態で20世紀を見ることなく死を迎えるが、実存主義の祖と仰がれるなど、20世紀哲学の先駆者であった。
彼から特に影響を受けた哲学者にハイデガー、バタイユ、フーコー、ドゥルーズ、デリダらがいる。