Guajara in other languages: Spanish, Deutsch, English, French, Italian ...



フェルディナン・ド・ソシュール

フェルディナン・ド・ソシュールFerdinand de Saussure, 1857年11月26日 - 1913年2月22日)はスイスの言語学者。言語哲学者。「近代言語学の祖」と呼ばれる。また、記号論にも大きな影響を与え、後の構造主義の礎となった。

彼自身の著書ではないが、晩年の1906年から1911年にかけて、計三回ジュネーブ大学で行なわれた一般言語学についての講義を、後にその受講生らがまとめた書『一般言語学講義』がある。

生涯

1857年11月26日スイスのジュネーヴに生まれる。一家は16世紀フランスから移住してきた名家で、物理学生物学を中心に多くの学者を輩出して来た一家であった。

1870年からギリシャ語を学び、1873年にギムナジウムに入る。1876年にパリ言語学会に入会し、10代にして数々の発表を行って名声を高める。この頃、ライプツィヒに留学する。

1878年暮れ、「インド・ヨーロッパ語における原始的母音体系についての覚え書き」を発表する。これは、ヨーロッパ圏の諸語の研究から、それらの祖となった印欧祖語の母音体系を明らかにしようとしたものである。この論文において半ば数学的な導出によりソシュールが提出した喉頭音仮説が、後にヒッタイト語解読によって実証され、これが20世紀の印欧祖語研究に大きな影響を与えることになる。

1878年7月にベルリンを訪れ、1879年暮れまでそこに滞在する。1880年からは再びライプツィヒに戻り、2月に論文「サンスクリットにおける絶対属格の用法について」をライプツィヒ大学に提出して博士号を得る。

1880年秋からパリに滞在する。1881年、パリ大学でミッシェル・ブレアルの講義を聴講し、才能を認められて同大学の「ゴート語および古代高地ドイツ語」の講師となる。そこで10年間に渡って教鞭をとった後、ジュネーヴに戻る。1906年、ジョセップ・ウェルトハイマーの後を受けて一般言語学について1906年-1907年1908年-1909年1910年-1911年の三度にわたって講義を行う。

20世紀に入ったころから彼にとって言語学は中心的な興味の対象ではなくなり、もっぱらニーベルンゲンの歌の研究やアナグラムに取り組むようになる。1912年の夏に健康を害して療養に入り、1913年2月22日、享年57で没した。

ソシュールの言語理論

一般に、ソシュールは言語の共時的な構造を重視したことで知られる。すなわち、言語の起源や歴史ではなく、ある一時点における言語の内的な構造が、言語を理解する鍵だと考えた。

この構造は2つの恣意的な差異の体系の、恣意的な結びつきとして理解される。

ひとつには、人間がつくりあげた現実世界の分類体系がある。虹の色や雨の種類、風の種類などを、人間はしばしば区別し、連綿としていていろいろな形で分類ができそうな対象であるにも関わらず、特定の分類体系に比較的長く執着することがままある。これは、どのような差異を有意味なものと考え、どのような差異を無視するかについての恣意的な選択として理解される。

同時に、人は、言語に用いる音についてもそのような恣意的な差異の体系をつくりあげている。例えば日本語では英語の r と l にあたる音の区別がなく、韓国語では英語の p と f にあたる音の区別がないように、本来ならば様々な形で分類できそうな多様な音を、有限な差異によって分類される有限数の音に区分けしている。

このように恣意的な差異の体系をつくりあげる行為である分類・区別、は分節と呼ばれる。現実世界と言葉を構成する音について、人間は2つの分節の体系を持っていることになる。

ここで、2つの差異の体系は恣意的に結びついているとされる。例えば「米」として分節された特定の対象物が「こ・め」という特定の音と対応していることには、必然性はない。

これを一般化して、言葉と意味内容、あるいは記号表現と記号内容(シニフィアンとシニフィエ)の間の関係が恣意的である、という風に定式化し、その両者を併せて記号(シーニュ)とする。ここで「記号」は必ずしも言語に限らず、様々な象徴表現がその射程に含まれる。後の記号論者によって挙げられた例で言えば、あるブランドに特定のイメージが関連づけられる仕方は、概ね恣意的なものであり、他の類似ブランドとの差異の体系を形成している。同様に、映画や小説などの作品を、作者の個人的な生い立ちや意図ではなく同時代の関連作品との差異の体系として読み解こうとする間テクスト性の分析もソシュールの記号理解に負うところが大きい。

分節の仕方は言語によって異なることが広く知られている。エスキモーは多くの雪の種類を区別する。日本人は稲、米、飯を区別するが英語ではいずれもriceとひとくくりにされる。差異の体系を研究することで文化を研究しようとする記号論の成立する所以である。

ソシュールは晩年はアナグラムの研究に打ち込んだことで知られる。それが彼の言語理論と齟齬をきたすものであるとの理解が一般的だが、踏み込んだ理解や評価はまだ確定していないように思われる。

参考文献





Wikipedia - All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.

Tagoror dot com  -  Legal Information  -  Contact us