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後天性免疫不全症候群(こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん)は、ふつうは英語名 Acqiured Immune-Deficiency Syndrome の略称で AIDS(エイズ)と呼ばれ、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染症。
HIVは免疫機能の発動に必要なCD4+ T細胞というリンパ球などに感染し、比較的ながい潜伏期ののちに活性化してCD4+ T細胞を破壊してしまう。CD4+ T細胞が著しく減少すると体内の免疫力が低下し、正常ならば排除できるような病原体に日和見感染するようになり、その他の合併症等を引き起こし死に至る場合もある。エイズとはこのように感染後の潜伏期をへて陥ってしまう免疫不全状態をさし、単にHIVに感染しただけではエイズとはよばない。なお、HIVは神経系の細胞にも感染して神経症状をしめすことがある。
当初、アメリカでエイズが広がりはじめたころ、原因不明の死の病に対する恐怖感に加えて感染者に同性愛者や麻薬の常習者が多かったことから感染者に対して社会的な偏見がもたれたことがあった。現在は、病原体としてHIVが同定され、異性間性行為による感染や出産時の母子感染もおこりうることが広く知られるようになり、エイズ患者に対する差別的な偏見は少なくなった。しかし、未だこの病気に対する知識の不足からくる差別・偏見の存在が問題視されている。
HIV自体の感染力は非常に弱く、感染するのはおもに次の場合に限られる。
日本におけるHIV感染例で特徴的なことは、血液製剤を使わざるをえない血友病患者などに感染が広がったことである。これは、まだ病原体の同定や検出方法が確立していない時期につくられた血液製剤ではHIV感染者の血液が原料に混ざっていたこととや、HIVの不活化に有効な熱処理をしていない製剤を使用しつづけたことが原因として考えられる。このような感染は本来ならば防げたはずと考えた患者らは訴訟を起こして、行政、製剤メーカー、認可に関わった責任者の責任を追及している。また、一部の関係者に対し刑事責任が追及されている。
HIVがレトロウイルスであることからその増殖に必要な逆転写酵素やプロテアーゼの阻害剤が開発され、治療薬として使われている。また、ウィルスが細胞に取り付くところを抑制するような薬剤の開発も試みられている。これらは、HIV感染者が免疫不全にまでならないように発症を抑えておくのに一定の効果があるが、ウィルスを体内から排除する根本治療にはいたっていない。したがって、感染リスクの高い行為は避けるという予防意識をもつことが必要だと考えられる。
関連項目
外部リンク