|
|
チューブリンと呼ばれる蛋白質からなる直径25 nmの管。細胞骨格の一種。チューブリンにはαとβの二種があり、微小管はこのチューブリンαとチューブリンβが結合したヘテロ二量体(ヘテロダイマー)を基本単位として構成される。細胞分裂の際に形成される分裂装置(星状体・紡錘体・染色体をまとめてこう呼ぶ。星状体・紡錘体は中心体・微小管複合体そのものをその形態からこう呼んだ)の主体は、この微小管である。
微小管には方向性があり、チューブリン二量体が付加しやすい側を+(プラス)端、解離しやすい側を-(マイナス)端と呼ぶ。(微小管はチューブリンの付加により伸長し、解離により短縮される)+端と-端では付加の速度が二倍程度違う。付加・解離の速度は遊離チューブリンの濃度によって決まり、高濃度の場合はいずれの端でも付加が起こる。濃度の低下とともにまず-端での付加が止まり、低濃度ではいずれの端でも解離が進む。よって、微小管の見かけ上の長さが変化しない場合でも、常に+端での伸長と-端での短縮が起こっており、この状態をトレッドミリングと呼ぶ。
微小管は、その-端を中心体に置き、重合の場である+端を細胞内の様々な領域に伸ばすことが多い。なお、中心体を構成する中心子自体、9対の三連微小管が環状に配置したものである。
微小管に結合して微小管の形態や機能を調節する蛋白質の一群が存在し、これらを微小管関連蛋白質(あるいは微小管結合蛋白質)と呼ぶ。微小管の伸長促進、連結、あるいは架橋による平行束の形成などを行う。
コルヒチンは微小管の伸長を阻害する。タクソールは逆に解離を阻害し、微小管を極度に安定化する。いずれも分裂装置の主体である微小管の不全をもたらし、細胞分裂を阻害することから分裂毒と呼ばれている。 微小管の重合を阻害する薬剤であるコルヒチンは紡錘糸の形成阻害を起こすことから、果樹では種無し(不稔性)の果実を品種改良により作成する際に使用される。
核分裂の際に形成される紡錘糸や、繊毛や真核生物の鞭毛の主要な構造は複数の微小管の束からなり、染色体の移動や鞭毛打などの運動を司っている。微小管を足場とするモーター蛋白質としてダイニンやキネシンなどが知られ、これらは細胞の巨視的運動のみではなく蛋白質やmRNAといった分子の細胞内局在にも関与している。