歴史
一般に編曲者として知られているのはアーン(Thomas Augustine Arne)である。1744年にイギリス上陸に失敗した小僭称者(Young Pretender)チャールズ・エドワード・ステュアートは、1745年に側近のみを引き連れてイギリスに上陸した。スコットランド高地地方の氏族は小僭称者の下に結集し、政府軍をプレストンパンズ(Prestonpans)において破り、以後ジャコバイト はイングランドへ向けて侵攻を開始した。ジャコバイトがイングランド中部ダービーまで南下してロンドンを脅かす中で、アーンは君主と国家の安寧を祈って「神よ、国王陛下を護り給え」を編曲した。
1745年9月28日、Drury Lane王立劇場においてジョンソン(Ben Jonson)の歌劇「The Alchemist」終演後に公式に演奏され、以後ロンドン各地の劇場で演奏されるようになって爆発的に広まった 。この熱狂的な雰囲気によるものか、1746年のカロードゥン・ムーアの戦い(the Battle of Culloden Moor)において政府軍はジャコバイトを決定的に破り、小僭称者は命からがらフランスに逃げ帰ることになる 。
ただし、以上はあくまで現在確認されている公式の初演の経緯であり、アーンが自ら作曲したとは考えられていない。1740年にキャリー(Henry Carey)が作曲したという説もあれば、さらに遡って16世紀の聖書の詩句、賛美歌にその起源を求める声もある。そもそもイングランド起源ではなく、ジャコバイトの側の歌であり、フランスから輸入されたものだとする者もいる。このように多くの研究があるものの、明確な起源は今なお判明していない。
歌詞
第六節はジャコバイト蜂起の記憶が薄れ、イングランドとスコットランドの融合が進む中で19世紀初頭にはほとんど歌われなくなった。
- God save our gracious Queen(King), / Long live our noble Queen(King), / God save the Queen(King): / Send her(his) victorious, / Happy and glorious, / Long to reign over us: / God save the Queen(King).
- Thy choicest gifts in store, / On her(his) be pleased to pour; / Long may she(he) reign: / May she(he) defend our laws, / And ever give us cause / To sing with heart and voice(With heart and voice to sing) / God save the Queen(King).
- O Lord, our God, arise, / Scatter thine (or her) enemies, / And make them fall: / Confound their politics, / Frustrate their knavish tricks, / On thee our hopes we fix: / God save us all.
- Not in this land alone, / But be God's mercies known, / From shore to shore! / Lord make the nations see, / That men should brothers be, / And form one family, / The wide world over.
- From every latent foe, / From the assassins blow, / God save the Queen(King)! / O'er her(his) thine arm extend, / For Britain's sake defend, / Our mother, princess(prince), and friend, / God save the Queen(King)!
- Lord grant that Marshall Wade / May by thy mighty aid / Victory bring. / May she(he) sedition hush, / And like a torrent rush, / Rebellious Scots to crush. / God save the Queen(King)!
日本語訳
- おお神よ我らが慈悲深き女王(国王)陛下を守りたもう / 我らが偉大なる女王(国王)陛下に長寿あれ、 / 女王(国王)陛下万歳: / 君に勝利を幸を栄光を与えたまえ / 御世の長きことを: / 女王(国王)陛下万歳!
- 汝(な)が選り抜きたもうた進物の / 君に喜びとして注がれんことを; / 御世の長きことを: / 我らの法を守護し、 / 絶えず理想を与えたまえ / 声無きも声高きも謳いぬ(歌う心で歌う声で) / 女王(国王)陛下万歳!
- おお主よ、神よ、立ち上がりたまいて / 汝と君の敵を消散せしめたまえ、 / 打ち砕きたまえ / 彼らが策を惑わしたまえ / 彼らが騙し手を挫きたまえ。 / 我らが望みは汝の上に! / 神よ我等を救いたまえ
- この御土のみでなく / 神の慈悲はこの御土の / 隅々まで知らるる! / 主は御国にこの広き世界の / 全て人間は兄弟たり / 一つ家族たることを知らしめす
- 闇に潜みし敵より / 暗殺者の魔の手より / 神は女王(国王)を守りたまえ! / 君が上に汝が腕を広げ / イギリスが為に防がん / 母(父)たる姫(王子)たる友たる / 女王(国王)を神は守りたまえ!
- 主より全能の御力を賜り / マーシャル・ウェイドに / 勝利はもたらされん / 乱を制し / 轟々たる濁流の如き / スコットランド人を破らんことを / 女王(国王)陛下万歳!