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糖尿病

血液中のブドウ糖濃度(血糖値、血糖)は、常に一定範囲内に調節されている。これは、ブドウ糖がをはじめとした各器官の主要なエネルギー源であるだけでなく、組織の糖化ストレスをもたらす有害物質でもあるからである。
血糖が上昇したときの調節能力(耐糖能)が弱くなり、血糖値が病的に高まった状態(または、高まることのある状態)を糖尿病(とうにょうびょう、Diabetes Mellitus:DM)と呼ぶ。1型糖尿病と2型糖尿病があり、2型は生活習慣病のひとつである。
一定以上の高血糖では尿中にもブドウ糖が漏出し尿が甘くなる(尿糖)ため糖尿病の名が付けられた(Diabetes=尿、Mellitus=甘い)。腎臓の再吸収障害のため尿糖の出る腎性糖尿は別の疾患である。

Table of contents
1 血糖の調節機構
2 血糖調節機構の破綻
3 糖尿病の診断基準
4 糖尿病の症状
5 糖尿病のコントロール

血糖の調節機構

一般的に野生生物にとっては飽食よりも飢餓が生存上の大きな問題である。そのため血糖は上がりすぎることよりも、下がりすぎること(低血糖)を回避することが重要であり、血糖を上昇させるためのホルモンは複数存在する。 対して、血糖を下げる方向に働くホルモンはインシュリンのみである。インシュリンは血糖値に応じて膵臓のランゲルハンス島から分泌され、肝臓でのグリコーゲン合成や脂肪の合成、タンパク同化を各組織に促している。

血糖調節機構の破綻

血糖を上昇させる仕組みは複数の系統で支えられているため、破綻することは稀である。逆に、降下させる系統はいくつかの原因で破綻もしくは機能不全となることがある。
  • ランゲルハンス島の破壊
ウィルス感染などによりランゲルハンス島が破壊されてインスリンが分泌できなくなることがある。この場合重症の糖尿病となり、常にインスリンを注射する必要がある。1型糖尿病と呼ばれる。 遺伝的因子と生活習慣(高インスリン血症)を背景として、組織のインスリンへの反応性が悪くなった状態。実際には生活習慣による糖尿病患者もインスリン分泌の低下があることが多く、インスリン抵抗性とインスリン分泌能をそれぞれ把握するための指標としてHOMA-R、HOMA-βが使用されている。2型糖尿病と呼ばれる。

糖尿病の診断基準

空腹時の血糖と、75gのブドウ糖を負荷して2時間後の血糖で診断する。空腹時に126mg/dl以上の血糖があればブドウ糖負荷をしなくても糖尿病型と判定される。
空腹時血糖(mg/dl)2時間後血糖(mg/dl)
正常型110未満140未満
境界型126未満200未満
糖尿病型126以上200以上
通常は判定を2回繰り返し、2回とも糖尿病型であれば糖尿病と診断、糖尿病ではないが正常でもなければ耐糖能障害(Impaired Glucose Tolerance:IGT)とする。 IGTはいわば「糖尿病予備軍」と言える病態であり、臨床上の糖尿病との違いは後述する合併症があるかないかという点であった。 しかし現在、IGT患者にも神経障害をはじめとした合併症が出現することが知られており糖尿病とはっきり区別する意味は希薄になってきている。

糖尿病の症状

糖尿病は、極度の高血糖(600mg/dl以上)にならない限り自覚症状は多飲・多尿程度である(ブドウ糖には利尿作用がある)。しかし、糖化ストレスにより血管系をはじめとした各器官に慢性的な障害をもたらすため、かつて高血圧高脂血症、肥満とともに死の四重奏と呼ばれたこともあった。しかし現在では糖尿病はこれらとは別格に扱われ、"CHD equivalents"つまり心筋梗塞や狭心症を一度起こした人と同程度のひどい動脈硬化状態と解されている。 大血管から末梢循環までの血管内皮に糖化ストレスを与え、動脈硬化を進行させる。このため、虚血性心疾患、脳梗塞の大きなリスクとなる。下肢動脈閉塞症のため下肢や足趾が壊死し切断に至ることもある。 比較的早期から出現し、小径の自律神経から感覚神経へと障害が進展する。細胞毒としての多発神経障害のほか、栄養血管の閉塞から多発単神経障害の形も同時に取る。自律神経障害としては発汗障害、起立性低血圧、インポテンツ等。感覚神経障害としては末梢のしびれ、神経痛等である。多発単神経障害としては、一時的な黒内障もみられる。 眼底の血管が血管障害のため閉塞し、酸素需要に対応するため新生血管が発達する。しかし、新生血管は脆弱なため眼底出血をおこし、失明に至ることもある。 腎臓の糸球体が血管障害のため硬化して数を減じていく。腎症が進行すれば腎機能が完全に廃絶し人工透析に至ることもある。現在日本で透析導入される患者の原因のトップは糖尿病である。 これら慢性合併症の他、一時的に著しい高血糖になることによって昏睡状態となることがる。 体調不良によって平常通りに服薬できなかった場合などに特に起こりやすく、機序によって分類される以下の二つが知られている。 上記二つの高血糖による意識障害のほか、糖尿病患者は治療薬の副作用によって低血糖による意識障害を呈する場合もある。 すなわち、糖尿病患者の意識障害では病態によって正反対の対応が必要となることになる。 ここで、低血糖であるか高血糖であるかすぐに判定できない場合にはブドウ糖の投与が優先することになる。低血糖の方がより致命的であるからである。

糖尿病のコントロール

糖尿病のコントロール状態は食前・食後血糖値を測定することで評価するほか、グリコヘモグロビンも参考にされる。これは、糖化を受けてヘモグロビンが変化したもので、全ヘモグロビンに占める割合は過去1~2ヶ月の血糖コントロール状態を反映するとされている。

基本戦略は、運動と食事療法によって耐糖能を改善することである。これでコントロールできない場合経口血糖降下薬の内服を追加するか、インスリン自己注射を行うかでコントロールせざるを得なくなる。
しかし近年は、初期から血糖降下薬を内服することの効果が指摘されてきている。





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