認知
1. 民法学において認知(にんち)とは、嫡出でない子について、その父又は母が血縁上の親子関係の存在を認める旨の観念の表示をすることをいう(民法779条)。
従来の判例は、母子関係は、原則として母の認知をまたず、分娩の事実によって当然に発生するとしており(最高裁昭和37年4月27日判決民集16巻7号1247頁)、認知は父子関係においてのみ問題となると考えられていた。しかし、近時の人工生殖技術の進歩により、代理母における母子関係をどのように考えるかといった新たな問題が生じており、向井亜紀の出産に関する報道(2004年1月)などを通じて、日本国内の世論の関心を集めた。現在、この問題に関する立法作業が進められている。
2. 心理学、言語学、脳科学、情報科学などにおいて認知とは、人間などが外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のことである。認知は統覚と連合の二段階にわかれた処理である。統覚は、風景などの知覚から形を取り出す働きである。その形が何であるのかを判断する働きが連合だ。認知の障害が失認であり、見えたり聞こえたりすることはできてもそれが何であるか理解できない(連合の障害と統覚の障害とでは症状には差異がある)。代表的なものとしては見たものが認知できない視覚失認のほか、相貌失認、手指失認など様々な症状があり得る。