H-IIロケットは、宇宙開発事業団(NASDA)が開発した人工衛星打上げ用ロケットで、初めて主要な技術を国内で開発したものであり、1990年以降の人工衛星の大型化に対応して高い信頼性と低コストで打上げを可能にすることを目標にした。
H-Iロケットまでは主要部をアメリカのデルタロケットの技術を導入して、ライセンス生産したが、H-Iロケットで実現した第2段用ロケットエンジンLE-5型や慣性誘導装置に引き続き、1段目のLE-7型液酸・液水ロケットエンジンや固体補助ロケットなどの国産化に成功したものである。このLE-7型エンジンの開発は難航し、開発試験中一人の死亡事故を含む爆発・火災事故を含む困難を克服する必要があった。1984年に開始されたプロジェクトは2年遅れの1994年に第1号機を成功させることができた。
1994年、第1号機の打ち上げに成功、1997年まで合計5機の連続打ち上げに成功した。しかし、打上げコストはアリアンなどより高く、国際市場での競争力は無かったため、打上げコストを半減するため次世代のH-IIAロケットを開発することが決まった。
1998年の第5号機、翌年の第8号機と連続で打上げに失敗したため、原因究明とH-IIA開発にリソースを集中するため、7号機(打上げ順序を変更して第8回目になる予定だった)の打上げをキャンセルし運用を終了することになった。
構成:2段式の液体ロケット
- 1段目: NASDAと航空宇宙研究所、三菱重工、石川島播磨重工が開発したLE-7型ロケットエンジン(推進剤は液体酸素と液体水素)を使用
- 2段目: H-I用を改良したLE-5A型ロケットエンジン(推進剤は液体酸素・液体水素)で、再着火が可能である。
- 1段目補助ロケット: 日産自動車(現・IHIエアロスペース)が開発した大型のもの2本。
- ペイロード・フェアリング: 川崎重工が開発
- 誘導装置: ストラップダウン式慣性誘導装置(NEC・日本航空電子が開発)
大きさ:
- 全長50m、コア直径4m、全備重量260,000kg(ペイロード除く)
打上げ能力:
- 低軌道(LEO)に10,000kg、静止トランスファ軌道(GTO)に2,000kgのペイロードを投入可能。
打上げ実績:
- 試験機1号機: 1994年2月4日:軌道再突入実験機OREX、性能確認用ペイロードVEP「みょうじょう」 (LEO)
- 試験機2号機: 1994年8月28日:技術試験衛星VI型(ETS-VI)「きく6号」(GTO)注3
- 試験機3号機: 1995年3月18日:静止気象衛星5号(GMS-5)「ひまわり5号」(GEO)および宇宙実験・観測フリーフライヤ(SFU)(LEO)
- 4号機: 1996年8月17日:地球観測プラットフォーム技術衛星(ADEOS)「みどり」(LEO)
- 6号機: 1987年11月28日:熱帯降雨観測衛星(TRMM)、技術試験衛星VII型(ETS-VII)「おりひめ・ひこぼし」(ともにLEO)
- 5号機: 1998年2月21日:通信放送技術衛星(COMETS)「かけはし」を打ち上げたが2段目の燃焼が予定より早く(192sに対し47s)停止し、静止トランスファ軌道への投入に失敗
- 8号機: 1999年11月15日:運輸多目的衛星(MTSAT)を打ち上げたが、1段目エンジンが破損し推力を失ったため指令爆破、父島の北西約380kmに落下した。
注1:LEO:低軌道、GEO静止軌道
注2:7号機は打ち上げキャンセル
注3:きく6号は2液燃料アポジモータの不調で静止軌道への投入を断念。楕円軌道で通信実験を実施。
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